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過払い金の意味と過払い金が発生する理由 

過払い金返還とは払いすぎた利息を返してもらうこと

 

「過払い金」ってそもそもなんだろう?過払い金のことがわからずに迷っている方も少なからずいらっしゃると思います。

 

本記事では、過払い金の意味と発生する理由について記載しています。それでは具体的に見てみましょう。

 

 

過払い金とはグレーゾーン金利を知ることから始まる

 

過払い金返還請求が発生する仕組みを理解するには、「グレーゾーン金利」を知っていただく必要があります。

 

 

(1)利息制限法の金利

 

利息制限法は、元金に応じて3種類の金利を定めています。

元金10万円未満は年20%、元金10万円以上100万円未満は年18%、元金100万円以上は年15%です。この規制に違反する契約は無効ですが、違反しても刑事罰はありません。

 

 

(2)利息制限法より高い出資法の金利

 

利息制限法に代わり高すぎる金利を刑罰で禁止する法律が出資法(※1)です。しかし、その上限利率は、年40.04%(2000年6月まで)、年29.2%(2006年6月まで)という、利息制限法をはるかに超える高い利率でした。このため利息制限法に違反しても、出資法の利率を超えていなければ何の処罰も受けません。

この利息制限法の上限金利と出資法の上限金利との間の金利のことを「グレーゾーン金利」といいます。

 

 

 

違法な利息の返還義務を否定した旧貸金業法の「みなし弁済」

 

消費者金融などの貸金業者を規制する旧「貸金業法」は、利息制限法の利率を超えた違法な利息でも、債務者が任意に弁済したのであれば、貸金業者が法定の書類などを交付していることを条件として、法的に有効な利息とみなすとしていました(旧貸金業法43条のみなし弁済規定)。

 

このため、貸金業者が、利息制限法を超えるグレーゾーン金利を受け取りながら、「みなし弁済」規定の適用によって有効な利息であるとの主張をし、返還を拒むことがしばしば行われておりました。

 

※1、正式名称は、「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」

※2、正式な旧名称は、「貸金業の規制等に関する法律」(2007年まで)

 

 

グレーゾーン金利と「みなし弁済規定」の廃止

 

しかし、商工ローンや消費者金融による多重債務の被害が告発され、貸金業者は社会的な非難を受けました。最高裁判所は「みなし弁済」規定の適用条件を厳しく制限する判決(最判平成18年1月13日)を下しました。これにより貸金業者は利息制限法の上限利率を超えて利息を受けとった場合には、原則として債務者に返還しなくてはならなくなりました。

 

 

なお、2010年6月より、出資法の上限金利と利息制限法の金利は同じく上限年利20%とされてグレーゾーンはなくなり、さらに、2010年6月より貸金業法のみなし弁済規定も廃止されました。

 

 

 

過払い金が発生するにはある程度の期間が必要

 

利息金のうち利息制限法を超える金額(支払いすぎた部分という意味で、「超過利息」といいます)は、利息としてではなく、元金部分の返済をしたものと取り扱われます。

 

そこで超過利息を支払い続けていれば、予定よりも早く借金の返済が終了することになります。そのことに気づかず、さらに元金と利息金を支払い続けていれば、それが過払い金となります。

 

このため過払い金がいつ頃発生するかは、それぞれの借入金額や返済方法によって異なります。

何かお悩み事がございましたら、お気軽にご相談ください。

 

東京大学法学部司法学科卒業。最高裁判所司法研修所修了後、裁判官に任官し、横浜地方裁判所、名古屋地方裁判所家庭裁判所豊橋支部、横浜地方裁判所家庭裁判所川崎支部判事補、東京地方裁判所家庭裁判所八王子支部、浦和家庭裁判所、水戸地方裁判所家庭裁判所土浦支部、静岡地方裁判所浜松支部判事。退官後、弁護士法人はるか栃木支部栃木宇都宮法律事務所勤務。

裁判官時代は、主に家事事件(離婚・財産分与・親権・面会交流・遺産分割・遺言)等を担当した。 専門書の執筆も多く、 古典・小説を愛し、知識も豊富である。 短歌も詠み歌歴30年という趣味も持つ。栃木県弁護士会では総務委員会に加入している。