離婚
夫・妻の不倫が発覚!相手に離婚を切り出す前に弁護士による3つのアドバイス
目次
不倫が発覚したらすぐに証拠を収集・保管しよう
テレビのワイドショーで有名人の不倫が話題になることが多くなっていますが、自分の夫や妻の不倫が発覚したら?考えたくもないですね。信頼していた夫や妻に裏切られたという気持ちになり、冷静でいられないでしょう。だからといって、すぐに離婚の話を切り出すのは得策ではありません。まずは落ち着いて対処することが大切です。
この記事では、不倫をしている配偶者に離婚の話をしようかとお考えの方向けに、相手に離婚を切り出す前の弁護士による3つのアドバイスをご紹介します。
不倫は離婚の理由となる
不貞行為って、具体的にどんなこと?
不倫というのは一般的な言い方であり、法律上は不貞行為といいます。不貞行為とは夫婦の一方が自分の意思で配偶者以外の異性と性交渉することです。
不貞行為というと難しい表現ですが、以下では不貞行為となるケースとならないケースをご紹介します。
①不貞行為になるケース
・不倫相手から何度も誘われて断り切れなかった
不倫相手から何度も誘われても断ることはできたはずです。断り切れなかったケースは、自分の意思で肉体関係を持ったと認定され不貞行為になります。
・酔った勢いで肉体関係を持った
お酒を大量に飲んで酔った勢いで肉体関係を持ったケースは、性交渉をした以上は不貞行為になります。ただし、酔いがひどく意識がもうろうとしている状態で性交渉した場合は、不貞行為にはなりません。
・1回だけ肉体関係を持った
1回だけ肉体関係を持っでも不貞行為になります。ただし、裁判所が離婚を認めるかどうかは別の話で、性交渉を複数回行っている場合に不貞行為を理由に離婚を認めるのが判例の立場です。
・夫婦が別居中に肉体関係を持った
別居中でも夫婦関係は続いているため、他の異性と肉体関係を持つことは不貞行為になります。ただし、夫婦関係が冷め切っていて、実質的に婚姻関係が破綻していた場合は、不貞行為にならないことがあります。
②不貞行為にならないケース
・強姦により肉体関係を持った
不貞行為といえるためには、自分の意思で性交渉することが条件となります。強姦された場合は、自分の意思で性行為をしていないので不貞行為にはなりません。
・他の異性とキスをした
キスは性交渉と言えないため、不貞行為にはなりません。ただし、夫や妻が他の異性とキスしたことにより、夫婦関係が険悪になった場合は、慰謝料を請求できるケースがあります。
・プラトニックラブ
プラトニックラブは肉体関係がないため不貞行為にはなりません。単なる片思いの場合も同じです。性交渉をしていない以上、不貞行為の条件を満たしていないからです。ただし、いくらプラトニックな関係だからといって、夫婦関係が険悪になるような交際をしていると慰謝料請求されるケースがあります。
証拠を集める
夫や妻が不倫していることがわかったら不倫の証拠を集めましょう。離婚を決意すると話し合いや調停、裁判になるケースがあります。そのようなときに証拠がなければ慰謝料の請求や離婚を認められにくくなります。裁判で不倫の証拠として認められうるのは、以下のようなものです。
(1)メールやSNSのやり取りの履歴
メールやSNSのやり取りの履歴は直接の証拠にはなりませんが、不倫していることを立証する間接的な証拠になることがあります。たとえば、メールやSNSに、以下のような内容の履歴があるケースです。
・いっしょにラブホテルへ行った
・いっしょに旅行へ行った
・セックスをしたことをほのめかす内容
これらの証拠を見つけたら、履歴の画面といっしょにパソコンや携帯電話などの端末も撮影しておきましょう。
(2)不倫の証拠になる写真
不倫相手の自宅へ入っていくところや旅行へ行って2人で写っている写真は、不倫の証拠になるケースがあります。また、ラブホテルへ入っていく場面の写真は決定的証拠になりますが、素人が撮影するのは簡単ではありません。探偵に依頼すれば、決定的な証拠となる写真を撮影してもらえるでしょう。
(3)不倫を認める音声データ
夫や妻に不倫しているかどうかを問い詰めたところ、不倫していたことを認める発言をすることがあります。この発言は不倫の証拠になるので、録音機に録音しておくことをおすすめします。書面として残す方法もありますが、音声データの方が取得しやすいでしょう。
(4)浮気していることを推認させる証拠
レストランなど飲食店の領収書は証拠になりにくいのですが、ホテルの領収書やクレジットカードの請求書は他の証拠を合わせて不倫の証拠になるケースがあります。夫や妻が留守の時に部屋を探すと、気づかれずに発見できるかもしれません。
慰謝料は誰に請求できて、相場はどれくらいか
夫や妻に不貞行為をされた配偶者は、精神的苦痛を受けたことを理由に慰謝料請求をすることができます。以下では、慰謝料を誰に請求できるのか、その相場はどのくらいかについてご解説します。
(1)慰謝料は誰に請求できる?
不倫は配偶者と不倫相手が共同して行う不法行為であり、不倫をした2人に対して慰謝料請求をすることができます。ただし、夫婦関係が冷め切っていて実質的に婚姻関係が破綻していたようなケースでは、不倫相手に慰謝料請求をすることができません。
また、不倫が発覚しても離婚しないのであれば、同じ家計の中でお金が動くということに過ぎないため、配偶者に対する慰謝料請求はせずに、不倫相手に対してのみ請求する場合が一般的と考えられます。
※不法行為とは、法律に違反して他人に損害を与えること
(2)慰謝料の相場はどのくらい?
不倫の慰謝料はケースごとに100万円~300万円と幅がありますが、相場は100万円前後になります。ただ、事案ごとに事情が異なりますので、疑問があれば弁護士に相談してみてください。
※財産分与とは、離婚した夫婦が一方の配偶者へ財産を与えること
まとめ
信頼していた夫や妻に不倫されたら、感情的になって離婚を思い立つのは仕方のないことです。しかし、すぐに離婚の話を切り出すのは得策ではありません。その前に、離婚や慰謝料を請求するのに必要な知識を身に着けておくことが必要です。この記事が、夫や妻に離婚を打ち明けようとお考えの方にお役に立てれば幸いです。
東京大学法学部司法学科卒業。最高裁判所司法研修所修了後、裁判官に任官し、横浜地方裁判所、名古屋地方裁判所家庭裁判所豊橋支部、横浜地方裁判所家庭裁判所川崎支部判事補、東京地方裁判所家庭裁判所八王子支部、浦和家庭裁判所、水戸地方裁判所家庭裁判所土浦支部、静岡地方裁判所浜松支部判事。退官後、弁護士法人はるか栃木支部栃木宇都宮法律事務所勤務。
裁判官時代は、主に家事事件(離婚・財産分与・親権・面会交流・遺産分割・遺言)等を担当した。 専門書の執筆も多く、 古典・小説を愛し、知識も豊富である。 短歌も詠み歌歴30年という趣味も持つ。栃木県弁護士会では総務委員会に加入している。
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