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離婚

弁護士側から辞任要求について最低限これだけ知っておく

依頼者と弁護士が信頼関係を築けるかどうか

 

離婚調停事件で選任した弁護士が辞任してしまった、、これからどうすればいいのか。

 

本記事では訴訟代理人として選任した弁護士側から辞任要求があったとき、どう対応するかというシチュエーションにおいて最低限知っておくべき内容を解説します。

 

 

 

弁護士の辞任とは?

弁護士辞任の正体を探るためには、事件処理を依頼するクライアントと弁護士との法律関係を明らかにしなければなりません。

 

その法律関係はクライアントと弁護士との「委任契約」になります。

 

委任契約は国民の生活関係を定める民法に規定されています。

離婚調停事件の処理を委任された弁護士が自分から申し出て事件の処理を辞めるケースがみられます。これが「弁護士の辞任」です。

 

辞任は「解任」とは異なります。

「辞任」は弁護士側から辞めると申し出るのですが、「解任」は依頼人側から弁護士に対してその任務を解消することをいいます。

 

 

なさそうである弁護士側からの辞任

 

そんなことあるのか、と首を傾げたい人が多いでしょう。なさそうですが、実はそういうケースが実在しています。

 

たとえば、離婚調停事件の処理を依頼したクライアントが法的には通用しないことばかり弁護士に要求すると、いかに法律のプロとしてのローヤーといえども、対応しにくくなります。

 

また、当初の委任契約で約束した着手金や、家庭裁判所までの交通費など必要な実費を支払わない酷い依頼人もみられます。

 

さらに、弁護士側からクライアントに連絡を取ろうとしても応答がないケースさえあります。これではどうにもなりませんから、弁護士としても辞任するしかありません。ほかにも、弁護士が病気になって執務できなくなるケースもあります。

 

 

ですから弁護士側からの辞任はなさそうで、現実には実在するのです。

 

辞任理由として多く挙げられること

 

それでは、弁護士の辞任理由として多く挙げられるのはどんなケースでしょうか。

弁護士と依頼人との法律関係は委任契約ですが、その委任契約の基礎は当事者間の信頼関係です。ですから、信頼関係が失われる場合、弁護士は辞任せざるを得ない結果となります

 

たとえば、以下のようなケースが挙げられます。

 

* 依頼人からの連絡がないので、電話、メール、ファックス、ときには書留便などによって法律事務所へ来訪するように通知しても、まったく応答がない。

 

* 事件を処理するよう弁護士を代理人に選任しておきながら、弁護士に連絡もしないで、 依頼人が直接、相手方と接触して交渉してしまう。

 

* 依頼人が弁護士と逢うたびに、信頼関係を破壊するようなクレームをつけてくる。

 

* 離婚調停を有利に導くために必要な書類など証拠資料を提出するように勧告されても、 実在している証拠物件を弁護士に渡さない。

 

* 離婚調停を有利に展開するために勧める弁護士の法的な専門の意見を無視して調停室で勝手に発言する。

 

これからも辞任理由に結びつくようなアクションを起こさないことが大切です。

 

大切なのは依頼人と弁護士との信頼関係の構築

 

そもそも離婚調停事件の処理を代理人としての弁護士に委任するのは、離婚調停を成立させるために弁護士に処理を依頼する「委任契約」が基礎になります。

 

民法の規定する委任契約は、委任者と受任者との信頼に基づく「双務契約」です。

 

ここにいう「双務契約」は、契約の当事者双方が契約に定めた任務を担う契約をいいます。双務契約としての委任契約は、「当事者双方の信頼関係」を基礎とする契約でありますから、大切なのは、離婚調停事件の依頼人と代理人としての弁護士との信頼関係といえます。

 

そうだとすれば最も大切なのは、依頼人と弁護士とが「望ましい信頼関係」を構築することでしょう。離婚調停事件を弁護士に委任したのですから、「望ましい信頼関係」を構築されるようおすすめします。

 

まとめ

 

離婚調停事件を弁護士に依頼後、弁護士側から辞任するようなケースをご紹介しました。

依頼者の立場からも辞任されやすいアクションを避けることで、代理人としての弁護士との信頼関係を構築することが大切です。何かお悩み事がございましたらお気軽にご相談ください。

東京大学法学部司法学科卒業。最高裁判所司法研修所修了後、裁判官に任官し、横浜地方裁判所、名古屋地方裁判所家庭裁判所豊橋支部、横浜地方裁判所家庭裁判所川崎支部判事補、東京地方裁判所家庭裁判所八王子支部、浦和家庭裁判所、水戸地方裁判所家庭裁判所土浦支部、静岡地方裁判所浜松支部判事。退官後、弁護士法人はるか栃木支部栃木宇都宮法律事務所勤務。

裁判官時代は、主に家事事件(離婚・財産分与・親権・面会交流・遺産分割・遺言)等を担当した。 専門書の執筆も多く、 古典・小説を愛し、知識も豊富である。 短歌も詠み歌歴30年という趣味も持つ。栃木県弁護士会では総務委員会に加入している。