債務整理
過払い金返還請求を弁護士に依頼するメリットとデメリット
目次
過払い金返還請求は弁護士に依頼すればスムーズに進む
「過払い金請求」を考えていらっしゃる方、そもそも一人でできないの?弁護士に依頼する意味は?
本記事では過払い金請求を弁護士に依頼するメリットとデメリットをご紹介します。
過払い金返還請求は自分一人でも可能
(1)取引履歴の開示請求
過払い金返還請求を行うには、まず、貸金業者との間の取引履歴を入手して、その履歴に従って利息制限法所定の利率に基づく引き直し計算を行い、過払い金額を算出する必要があります。
貸金業者は取引履歴の開示を請求されたときには応じる義務があり(貸金業法)、これに違反すると貸金業の登録取消や業務停止といった厳しい処分を受ける場合もあります。
そのため個人でも貸金業者に請求をして、取引履歴を入手することが可能です。
(2)引き直し計算
取引履歴を入手したら、利息制限法所定の利率による引き直し計算を行い、過払い金の有無を算出します。まず、無料の計算ソフトをインターネット上でダウンロードしましょう。過払い金問題に熱心に取り組んでいる弁護士団体のものなど、信用できる無料ソフトがあります。表計算ソフトを使える方であれば自分で計算することも難しいことではありません。
(3)過払い金返還請求交渉
履歴に基づく引き直し計算をして過払い金の金額が判明したら、貸金業者に対して、その返還を請求します。過払い金返還請求権は、法律的には貸金業者に対する不当利得返還請求権と構成されます。利息制限法所定の制限利率を超える利息については、貸金業者に受領する「法律上の原因」がなく、不当に利得したものとなるのです。個人の貸金業者に対する債権となりますので、自身で請求することも当然可能です。
もっとも、貸金業者は返還請求をされても、満額の返還には応じず、請求額の何割かを和解案として提示して来る等しますので、貸金業者と交渉して返還額と支払い方法を決めることになります。
(4)過払い金返還請求訴訟
貸金業者が交渉に応じない、話し合いがまとまらない場合は、裁判所へ過払い金返還請求訴訟を提起することになります。日本では、弁護士に依頼せずとも自分で裁判を提起することができます。これを本人訴訟といいます。
裁判所は本人訴訟だからといって、邪険に扱うことはありません。むしろ法的知識が不十分であることから不利益を受けないように丁寧に対応してくれます。
弁護士に依頼することの一番のメリットは手続すべてを任せられること
(1)弁護士に依頼するメリットは何か?
過払い金返還請求の各手続は弁護士に依頼しなければ出来ないというものではなく、全て本人だけで行うことが可能です。では、それにもかかわらず、ほとんどの方が過払い金返還請求を弁護士に依頼する理由はなんでしょうか。
(2)全て個人でできるが、個人でやろうとすると大変
弁護士に依頼をすれば、履歴の開示請求から訴訟まで、すべての手続を弁護士が行ってくれるので、本人は基本的に何もしなくて良いという点に大きなメリットがあります。
個人でできることであっても、知識も経験もない方が、実際にそれを行うには大変な手間がかかります。
例えば、
取引履歴の開示を求めるときの文章の内容は?
開示された履歴の読み方は?
引直計算ソフトの使い方は?
貸金業者に過払い金返還請求をするときの内容証明の書き方は?
貸金業者と交渉をするときに気を付けることは?
貸金業者が提示してきた分割払い案は妥当なのか?過払い金返還請求訴訟を起こすときの訴状の書き方は?
裁判所はどこ?
判決をもらったけれど相手が判決どおりに支払わないときはどうすればいいの?
このようなことを自分で調べて動かなくてはいけません。
膨大な労力を費やしても大幅に減額された額しか返還されないということを防ぐためにも、知識と経験のある弁護士に依頼をするとの選択をされてみてはいかがでしょうか。
弁護士に依頼することの一番のデメリットは弁護士費用がかかること
確かに弁護士に依頼をすると弁護士費用がかかるというデメリットがあります。
心配なのは、弁護士を依頼して過払い金返還請求をおこなっても、首尾よく過払い金が返還されず、弁護士費用の負担の方が大きくなってしまうということでしょう。
しかし、多くの弁護士事務所では、過払い金返還請求については着手金は不要で、実際に取り戻せた過払い金の額を基準に、その中から弁護士費用の支払いを受けるというシステムを採用しています。この方式であれば、費用倒れの心配は無用です。
何かお悩み事がございましたら、お気軽にご相談ください。
東京大学法学部司法学科卒業。最高裁判所司法研修所修了後、裁判官に任官し、横浜地方裁判所、名古屋地方裁判所家庭裁判所豊橋支部、横浜地方裁判所家庭裁判所川崎支部判事補、東京地方裁判所家庭裁判所八王子支部、浦和家庭裁判所、水戸地方裁判所家庭裁判所土浦支部、静岡地方裁判所浜松支部判事。退官後、弁護士法人はるか栃木支部栃木宇都宮法律事務所勤務。
裁判官時代は、主に家事事件(離婚・財産分与・親権・面会交流・遺産分割・遺言)等を担当した。 専門書の執筆も多く、 古典・小説を愛し、知識も豊富である。 短歌も詠み歌歴30年という趣味も持つ。栃木県弁護士会では総務委員会に加入している。
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