交通事故
交通事故の示談金交渉を弁護士に依頼すべき理由
目次
示談金交渉は弁護士に依頼するほうがメリットが大きい
交通事故に遭い怪我をしたような場合、しばらく身体の動きが制限される上に入通院をしなければならず、不便な生活を強いられることになります。そのような中で、始めなければならないのが加害者側との示談交渉です。しかし、示談交渉は弁護士に一任すれば、様々なメリットが享受できます。本記事では、交通事故の示談金交渉を弁護士に依頼すべき理由について解説します。
交通事故の示談交渉とは?
示談交渉とは
交通事故における示談交渉とは、治療費や通院費などの治療にかかる費用や仕事ができなくなったことに対する損害を金銭で補償してもらえるよう、被害者が加害者と交渉することを指します。しかし、実務上は被害者と加害者が直接話し合うことはほぼなく、被害者と加害者側の保険会社との間で交渉を進めることになります。
示談交渉の流れ
①事故の発生
警察に通報するとともに、相手方(加害者)の身元や連絡先を確認します。怪我をした場合は、警察署が発行する交通事故証明書を確認し、「物損事故」となっていれば「人身事故」として警察に処理してもらうようにしましょう。
②治療
病院でレントゲン検査など必要な検査を受け、治療を開始します。治療は整形外科のほか、整骨院や接骨院などでも受けることが可能です。
③治療完了または症状固定
怪我が完治したら、あるいは治療を一定期間続けてもこれ以上回復が見込めない「症状固定」の状態になれば、治療が終了します。このとき、麻痺やしびれ、見た目に目立つ大きな傷跡が残った場合などには、後遺障害等級認定の申請をします。
④示談交渉
後遺障害等級の認定を受けると損害賠償金額が決定するため、加害者と示談交渉を開始します。
⑤示談成立または法的手続
仮に示談が成立しない場合は、裁判所での調停・裁判などを利用して引き続き紛争の解決を目指します。
交通事故の示談金の相場は?弁護士費用の相場は?
交通事故の示談金には、入通院費や治療費だけでなく、交通事故による精神的・肉体的苦痛を補償するための慰謝料も含みます。この慰謝料の金額が、示談金の金額を大きく左右する要素となります。
示談金の3つの基準
示談金の金額には、「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準(裁判基準)」の3つの基準があります。このうち、自賠責基準が最も金額は低く、弁護士基準が最も金額は高くなります。
<自賠責基準>
自賠責基準とは、自賠責保険による基準のことです。この基準では、人身傷害の場合は傷害による損害について被害者1名につき120万円を限度として支払われます。後遺障害が残った場合は等級に応じて、①神経系統の機能や精神・胸腹部臓器への著しい障害で、介護を要する障害の場合には、常時介護を要する1級で4,000万円、随時介護を要する2級で3,000万円を限度として、②①以外の後遺障害の場合には、3,000万円(1級)から75万円(14級)を限度として、支払われます。
補償内容としては、身体に残した障害による労働能力の減少で将来発生するであろう収入源(逸失利益)や、交通事故による精神的・肉体的な苦痛に対する補償(慰謝料)などがあります。逸失利益や慰謝料についても、各等級により金額が変わってきます。例えば、慰謝料について1,100万円(1級)から32万円(14級)まで幅があります。
<任意保険基準>
任意保険基準とは、保険会社がそれぞれ独自に定めている金額の基準のことを指します。相場の金額は、保険会社により異なりますが、おおむね自賠責基準と弁護士基準の中間です。例えば、後遺障害が残った場合に提示される慰謝料の金額はおおよそ40万円前後から1300万円前後まで、死亡損害の場合は死亡者の属性によって1200~2000万円前後などと言われたりします。
<弁護士基準(裁判基準)>
弁護士基準とは、過去の判例や訴訟の中で示された裁判所の考え方が基準となった金額のことです。弁護士基準では、後遺障害が残った場合に提示される慰謝料の金額は等級により110万円前後から2800万円前後まで、死亡損害の場合は死亡者の属性によって2000~2800万円前後となります。
スムーズに交渉したい場合はすぐに弁護士に依頼しよう
交通事故に遭ったら、しばらくは怪我の治療や身体の回復に専念したいところではありますが、保険会社によっては、早々に示談を迫ってくることもあります。弁護士に依頼をすることで、後遺障害等級認定が適切にできる、示談金の金額を増額できる、自力で交渉するストレスや手間暇が減るといったメリットが得られます。不利な条件で示談を成立させられないようにするためにも、事故発生後6ヶ月以内を目安に、できるだけ早い段階で弁護士に相談されると良いでしょう。
まとめ
保険会社は示談交渉の経験が豊富なため、自力で交渉しようとするとうまく言いくるめられてしまうことも少なくありません。少しでも有利な条件を加害者側から引き出すためにも、交通事故の示談交渉を行う前に交通事故の経験が豊富な弁護士に依頼されることをおすすめします。何かお悩み事がございましたら、お気軽にご相談ください。

早稲田大学法学部卒業。司法修習終了、ワシントン大学ロースクール修士課程修了、ハーバード大学客員研究員、ブラウン・守谷・帆足・窪田法律事務所パートナー、長浜・山口法律事務所を設立、東京山王法律事務所と改称し、今日に至る。
第一東京弁護士会常議委員、厚生部委員会副委員長・綱紀委員会委員・人権擁護委員会委員・司法制度調査委員会委員・厚生部委員会委員・刑事法制委員会委員・選挙管理委員会委員、日本弁護士連合会通信傍受法組織犯罪対策法に関する拡大理事会委員など。
(元)東京簡易裁判所民事調停委員
(現)日本海運集会所仲裁委員
(現)ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)登録弁護士
(現)日本弁護士連合会中小企業の海外展開支援事業 登録弁護士
東京大学法学部司法学科卒業。最高裁判所司法研修所修了後、裁判官に任官し、横浜地方裁判所、名古屋地方裁判所家庭裁判所豊橋支部、横浜地方裁判所家庭裁判所川崎支部判事補、東京地方裁判所家庭裁判所八王子支部、浦和家庭裁判所、水戸地方裁判所家庭裁判所土浦支部、静岡地方裁判所浜松支部判事。退官後、弁護士法人はるか栃木支部栃木宇都宮法律事務所勤務。
裁判官時代は、主に家事事件(離婚・財産分与・親権・面会交流・遺産分割・遺言)等を担当した。 専門書の執筆も多く、 古典・小説を愛し、知識も豊富である。 短歌も詠み歌歴30年という趣味も持つ。栃木県弁護士会では総務委員会に加入している。
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