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離婚

【離婚事件】弁護士費用の相場ってどれくらい?

弁護士費用はオープン価格?

 

離婚事件で、弁護士を依頼する場合、費用はいくらかかるのでしょう?相場の金額があるのでしょうか?

 

 

弁護士費用は弁護士・その所属する事務所によって異なります

かつては、弁護士の費用は弁護士会の規程によって定められていました。しかし、現在では、同規程は廃止されており、弁護士の費用はすべていわゆる「オープン価格」です。その弁護士あるいはその弁護士が所属する法律事務所が、自由に弁護士費用を定めることができます。

 

そして、弁護士は弁護士費用を算定する基準を明記した書類を作成して、法律事務所に備えておかなければならないとされています。

 

 弁護士費用を知りたい時は、弁護士にお尋ねください。費用についての説明を嫌がる弁護士はおりません。 

 

また、依頼にあたって見積書を出してもらうことも有益です。

 

弁護士費用は、弁護士が一方的に決めるわけではなく、依頼者と弁護士の間における委任契約によって定めるものですから、事案の内容や依頼者の支払能力によって金額も変わります。希望の金額や支払い方法(分割払いなど)があるなら、遠慮せずに弁護士に相談することです。

 

協議離婚、離婚調停、離婚裁判、それぞれの弁護士費用の違い

 

弁護士の費用は、通常、着手金と報酬金、実費に分かれます。

 

着手金はその事件処理に弁護士が着手する時に支払わなければならない金額です。これは一種の支度金であって、事件処理の結果に関わらず返還を請求することはできません。

 

報酬金は事件が終了した時に、弁護士の活動によって依頼者が得られた成果に応じて支払われる金額です。

 

実費は、事件処理のために実際に出費されるもので、切手代や印紙代、交通費等が含まれます。

 

さて、離婚事件において弁護士を依頼する場合、次の5つの段階があります。

 

①弁護士に代理人として相手方と交渉をしてもらう場合

 

②家庭裁判所における離婚調停(「夫婦関係調整(離婚)調停」)の代理人を弁護士に依頼する場合

 

③離婚調停が不成立となり(離婚事件は、調停前置主義といって離婚裁判の前に、必ず離婚調停が先行します)、離婚裁判の訴訟代理人を弁護士に依頼する場合

 

④協議離婚の際に合意した離婚条件(慰謝料、財産分与、養育費)が守られないので、その支払い請求訴訟の訴訟代理人を弁護士に依頼する場合

 

⑤離婚条件(慰謝料、財産分与、養育費)に関する調停条項や判決に相手方が従わないので、その支払を求めて給与差押えなどの強制執行手続の代理人を弁護士に依頼する場合

 

弁護士が、①ないし③の各段階から関与するときは、どの場合も着手金は20万円から50万円の範囲内が相場です。

 

弁護士やケースによって、最初の着手金だけで最後まで担当する場合もありますし、追加の着手金を必要とする場合もあります。

 

例えば、①協議離婚の交渉の代理人となったが、交渉がまとまらず、②離婚調停の代理人、③さらに進んで離婚訴訟の代理人も担当したという場合、調停を申し立てる段階、あるいは訴訟を提起する段階で10万円から20万円程度の追加着手金を必要とする場合があります。

 

また離婚が成立した場合の報酬ですが、まず離婚が成立したことに対する報酬金として40万円から100万円の範囲内が相場です。

 

また、これに離婚によって得られた金銭(慰謝料、財産分与、養育費等)の金額を基準として算出した一定額を加算します。

 

例(東京弁護士会旧規程による)

経済的利益が300万円以下の場合16%

経済的利益が300万円超、3,000万円以下の場合10%+18万円

 

さらに、④離婚協議の際に合意した事項の履行を求める訴訟や⑤確定した離婚条件の強制執行を行うなどの場合は、①ないし③の各段階とは別途に着手金と報酬金が必要です。その費用額は請求する金額に応じて各弁護士事務所の基準によります。

 

なお、これらの着手金、報酬金とは別に実費(コピー代、通信費)、日当(出張などが必要な場合)がかかります。

 

弁護士費用が「安い」弁護士は離婚事件に「強い」弁護士?

 

今日では弁護士費用をかなりディスカウントする法律事務所も登場しており、着手金が無料であるとか、相場よりも低額に設定した法律事務所もあります。

 

これらは法律事務所の敷居を低くして依頼をしやすい事務所を目指しており、できるだけ多くの国民に法的サービスを提供するという観点からは評価されるべきものです。

 

しかし、弁護士費用の「高い」、「安い」と、その弁護士が離婚事件に強いかどうかは相関関係があるとは言えません。薄利多売が仕事の質に影響するなら問題ですし、むしろ弁護活動に自信とプライドがあるからこそ安い弁護士費用の設定はしないという弁護士も多いのです。

 

もちろん依頼をするにあたって弁護士費用の高低は弁護士選びの重要な基準の一つになることは間違いありません。

しかし、いくら費用が安くても望む結果が得られないのであれば本末転倒ですから、費用だけを決め手とするべきではありません。

何かお悩み事がございましたら、お気軽にご相談ください。

 

 

 

 

 

 

 

東京大学法学部司法学科卒業。最高裁判所司法研修所修了後、裁判官に任官し、横浜地方裁判所、名古屋地方裁判所家庭裁判所豊橋支部、横浜地方裁判所家庭裁判所川崎支部判事補、東京地方裁判所家庭裁判所八王子支部、浦和家庭裁判所、水戸地方裁判所家庭裁判所土浦支部、静岡地方裁判所浜松支部判事。退官後、弁護士法人はるか栃木支部栃木宇都宮法律事務所勤務。

裁判官時代は、主に家事事件(離婚・財産分与・親権・面会交流・遺産分割・遺言)等を担当した。 専門書の執筆も多く、 古典・小説を愛し、知識も豊富である。 短歌も詠み歌歴30年という趣味も持つ。栃木県弁護士会では総務委員会に加入している。