離婚
【離婚事件】弁護士費用は大まかに4つに分かれます
離婚事件にかかる弁護士費用
離婚事件を弁護士に依頼したいけれども、どのような費用がかかるのか分からない方が多いでしょう。離婚事件で弁護士を利用することは、ほとんどの方にとって、生涯一度あるかないかのことですから、無理もありません。
そこで、ここでは、離婚事件における弁護士の費用について基本的な知識を説明いたします。
なお、平成16年以前は、日本弁護士連合会と各地域の弁護士会が報酬規程によって費用額を定めていましたが、現在の弁護士費用はオープン価格となり、各弁護士が自由に費用額を設定できます。
但し、報酬の種類、金額、算定方法、支払時期など、報酬を算定するために必要な事項を明記した「報酬に関する基準」を事務所に備え置くこととされています。
弁護士費用を大まかに、①相談料、②着手金、③報酬金、④日当及び実費の4つに分けている法律事務所が多いと思われます。
相談料
相談料は、法律相談の費用です。弁護士が離婚に関するトラブルを聴き、法的観点からの助言をしてくれます。
相談料は、時間単位となることが一般です。初回の法律相談が30分5000円(税別)というのが相場です。30分を過ぎた場合、15分ごとに2500円をプラスするという事務所もあれば、30分から1時間まで1万円とする事務所もあります。
また、最近では、離婚事件の相談料は初回無料という法律事務所もあるようです。
法律相談を予約する際に、法律相談料についても問い合わせをしておくことが大切です。
着手金
着手金は、弁護士が事件にとりかかる際に受け取る費用です。事件処理の結果如何にかかわりなく返還をすることはできません。
離婚事件の着手金は、20万円から50万円程度が相場です。
離婚事件の場合、専業主婦の方などは、着手金のために弁護士への依頼をためらうケースが多く見られます。慰謝料や財産分与を得ることが見込まれる事案では、着手金は事件終了時に報酬金とまとめて支払う扱いとしてくれる法律事務所もあります。また、無理のない範囲での分割払いに応じてくれる場合も多いので、支払い方については、弁護士に相談されることがお勧めです。
報酬金
報酬金は、事件終了時に弁護士の活動によって依頼者が得た成果に応じて支払う費用です。
離婚の成否自体に関する報酬金、すなわち①依頼者が離婚を望み相手が拒否しているケースで離婚を成立させた場合、②相手が離婚を希望し、依頼者が離婚を拒否していたケースで離婚を阻止した場合、その報酬金は40万円から100万円程度が相場です。
慰謝料、財産分与、養育費などの金銭給付を得た場合などには、その金額を経済的利益として一定額を報酬に加算します。
例(東京弁護士会旧規程による)
経済的利益が300万円以下の場合16%
経済的利益が300万円超、3,000万円以下の場合10%+18万円
日当や実費
日当は、着手金とは別に支払う費用です。出張日当と法廷日当があります。
出張日当は、地方の裁判所に出頭しなくてはならない場合などに、半日単位で金額を設定している事務所が多いようです。
参考:東京弁護士会旧規程
半日(往復2時間を超え4時間まで)3万円以上5万円以下
一日(往復4時間を超える場合)5万円以上10万円以下
法廷日当は、裁判所への出頭に対する日当です。1回いくらで定めているケースが多いようです。その案件が終了するまでの標準的な出頭回数を定めて、その範囲内は着手金でまかない、標準を超えて出頭したときに日当を請求する扱いをすることもあります。他方、法廷日当は請求しない法律事務所もあります。
日当についても、各弁護士によって定め方に違いがありますから、弁護士によく確認してください。
実費は、事件を処理するために必要な経費です。コピー代、交通費、通信費(切手代)、収入印紙代などが主なものです。
収入印紙代は、調停や訴訟に際して裁判所に納める手数料です。
例:離婚訴訟の場合13,000円
切手代には、弁護士と依頼者又は相手方が書類のやりとりをするための切手代と、調停や訴訟にあたって裁判所に収めなくてはならない予納郵券代などがあります。予納郵券の金額は、各裁判所によって異なります。
調停や訴訟で、案外かさんでしまうのがコピー代です。1枚20円から30円で設定している事務所が多いようです。コピー代がどれだけかかるかは、事件によって様々です。離婚事件であっても、訴訟で事実関係を争うようなケースでは、数万円程度かかることがあります。
実費は、一定金額を預かり金として受領し、終了時に精算する事務所が一般的です。
何かお悩み事がございましたら、お気軽にご相談ください。
東京大学法学部司法学科卒業。最高裁判所司法研修所修了後、裁判官に任官し、横浜地方裁判所、名古屋地方裁判所家庭裁判所豊橋支部、横浜地方裁判所家庭裁判所川崎支部判事補、東京地方裁判所家庭裁判所八王子支部、浦和家庭裁判所、水戸地方裁判所家庭裁判所土浦支部、静岡地方裁判所浜松支部判事。退官後、弁護士法人はるか栃木支部栃木宇都宮法律事務所勤務。
裁判官時代は、主に家事事件(離婚・財産分与・親権・面会交流・遺産分割・遺言)等を担当した。 専門書の執筆も多く、 古典・小説を愛し、知識も豊富である。 短歌も詠み歌歴30年という趣味も持つ。栃木県弁護士会では総務委員会に加入している。
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